「横浜市立脳血管医療センター医療機能検討会議」報告書叩き台について気づいたこと

  • 脳血管医療センターの第6回機能検討会議(7月26日)で資料が配布されました。 これには会議の信友座長がまとめた「たたき台」が入っています。  これは当日の会議で議論され、さらに8月23日にも検討され、修正される予定で すが、このままで行くと大変なことになるので、気づいた点をいくつかあげます。  なお、「たたき台についての委員の意見」もついており、この内「D委員意見」が たたき台より長い位で、これは非常に重要です。内容から8人の委員のうち唯一人最 新の脳卒中診療に精通した脳卒中学会理事長である篠原幸人委員の意見であることが 判ります。
      問題点 I.脳血管医療センターの救急機能を減らそうと云う意図が丸見え
      1) 脳卒中の可能性がある患者でもまず総合病院に運び、脳卒中と判ってからセン ターなどの専門病院に運ぶ。
      2) 患者や家族の判断でセンターに直接いくべきではない(受け付けない) (たたき台2頁下3行~下12行) センターではなくよその病院に運ばせたくてしかたがない ところがこれは脳卒中の世界的常識から見て間違いである。まず脳卒中専門病院で診 て、脳卒中でないと判ってから総合病院に運ぶのが原則。このままでは「横浜市は物 笑いの種」になると云います。(D委員の意見3頁下8行~4ページ上14行)
      問題点 II.「365日、24時間対応」が無い 今まで横浜市で唯一脳血管センターで続いてきた、
      〔1〕365日、24時間脳卒中専門の医師が待機し、MRIなどが稼働する救急治療
      〔2〕 必要の場合最新の高度な治療を受けられる医療 が、どうなるかについてはどこにも全く触れられていない。  完全に患者無視のものとなっています。 これまでセンターのお陰で年間1500人もの救急患者が助かってきたのです。 センターの救急が縮少した場合他の病院で以上の〔1〕~〔2〕が確実に保証される のかも全く不明です。
      問題点 III.急性期病棟を減らそうとしている
     1)現在センターの急性期病棟である3階の81床を回復期リハビリ病棟に変える準 備を始める (5頁下3行~5行) 2)同じ病院内に急性期病棟と回復期リハビリ病棟をおくと、日本の医師の特性とし て、生死を扱う急性期治療に傾注しがちで歪みが出る。 としている  (3頁下2行) これについては、 1) 急性期病棟の81床を減らせば残りはわずか約30床となる。救急患者が運ば れてきても、断られる。
      2)生死の境から人を救うことに傾注するのは良心的なお医者さんなら当り前のこと でしょう。死んでしまえばリハビリなど要りません。 どういう感覚からこういう発想が出て来るのか?  以上はほんの一端ですが、患者本位の治療のための機能検討の筈が、患者無視の検 討となり、恐ろしい結果が出てきそうで不安です。これらは私達の不安というだけで はなく客観的に見てもおかしいのではないでしょうか?