市立脳血管医療センターに関する
署名簿提出について

平成18年2月7日
市立脳血管医療センターに関する
署名簿提出について
横浜市長中田宏殿
「脳卒中から助かる会」
代表 上野正
同 吉田孝
 私達「脳卒中から助かる会」は脳血管医療センターについて、
 1) 救急・急性期医療の維持・充実
 2) 神経内科医松岡慈子先生の人事異動の撤回
を横浜市に連署を以て要望することを決め、平成17年4月から広く署名を呼び掛けてきました。

 これに対し、本年1月末までに16,313人が署名されましたので、本日ここに提出致します。

 私達署名者は脳血管医療センターの在り方を文字通り命に関わる問題と考え、上記2項目の実現を 心から求めています。
 横浜市が私達多数の市民の要望を誠実に受けとめて、確実に実現することを求めます。


平成18年2月7日

横浜市立脳血管医療センターに関する要望

横浜市長中田宏殿
「脳卒中から助かる会」
代表 上野正
同 吉田孝
1.昨年12月、センターで急性期医療を行う方向性が確認されましたが、 今センターは一昨年発表の誤った方針のため医師が減って危機にあります。センターを脳卒中専門病院 として本格的に充実、再建することを要望します。
2.センターの充実は医師の数だけでなく、医師の能力が重要です。
 全国で評価の高いセンター神経内科の中心的存在だった畑、松岡両先生の帰任可能な環境整備を要望します。また、特に(例外者を除いて)水準の高い神経内科の現メンバーを大切にし、さらに補充 することを求めます。
3.脳神経外科、内科、麻酔科,放射線科を優れた医師によって補充すること。特に内科の循環器専門 の医師、麻酔医の一刻も早い来任と、能力ある外科医の来任を求めます。
4.優れた医療で貢献の大きいセンターが、かつての劣悪な脳神経外科医による事故と、管理部、衛生局に よる事故隠しばかりで有名になっています。
 一刻も早く、進んで全貌を明らかにし、取るべき責任と取るべき処置を取って全てを透明にして頂きたい。
5.センターをリハビリ施設にするという誤った方針と不適切な事故処理、不適切な病院運営等によっ てセンターの危機を招いた岩崎栄病院経営局長、センター担当理事職にある山本元センター長、福島前 センター長を、患者本位の医療を実現する能力のある担当者と交代させる事を求めます。
6.これまで市長からは、センターの救急体制の危機についても、医療事故についても責任ある当事者 としての発言が無く、極めて遺憾であります。
 今回アメリカのサンディエゴからセンターの事故で死亡した患者の家族が来日、外国特派員協会で不信を表明。法的に証拠保全を行ったと云います。
 近く横浜とサンディエゴの姉妹都市50周年記念の祝典やサミットを招くなどが計画されていますが、 足元がこの始末では恥ずかしい限りです。
  市長も、これからは横浜市民の為に先頭に立ってセンターを本気で再建し、国際的にも恥ずかしく ない事故処理を行って頂きたい。
以上

説明(記者説明用資料) 06・2・7
(1)平成16年11月、横浜市衛生局はこのセンターをリハビリ重点施設にする方針を打ち出し、 これに対してセンターの患者はもちろん、市民、有識者から強い反対の声があがりました。私達も平成17年3 月「脳卒中から助かる会」を結成して、今回の署名運動を始めました。
 なぜなら、脳卒中医療は最初の数時間が勝負と言われ、手遅れのない良質の治療には毎日24時間MRI を含む高度の機器が稼働し、脳卒中専門の医師が常時現場に待機する救急体制を必要とする。しかし、 横浜市にはセンター以外これが出来る病院は全く無い。近い将来出来る見通しもありません。
  その後昨年12月に横浜市は同センターが「引き続き急性期医療を提供」するとの方針を発表し、市会 もこれを承認。長期間にわたる不安と混迷の後、ようやくセンターの救急、急性期医療存続の方向性が 確認されました。
 しかし現在、センターの専任医師は昨年3月以降4割も減って、横浜市唯一の、専門の医師とMRI等に よる24時間救急体制も隔週の土、日、休日は停止。麻酔医は皆無となって他の病院の協力なしには手術が出来ません。

(2)今回センターの救急、急性期医療維持の方向性が決まったことにより、脳卒中専門病院としての本格的充実、 再生を改めて要望します。それは今後の国全体の脳卒中医療の方向性とも合致したものです。
  脳卒中医療の大きな進歩により、良質な急性期医療で救命と後遺症軽減の可能性が激増した事を受け、厚生労働省 は平成16年、毎日24時間脳卒中の最新治療を行う救急体制を全国に整備するための研究班を設置しました。センターは この研究班の5箇所の指導的中核病院の一つで、横浜市が300億をかけた施設と、センターの優れた医師団が全国の モデルの一つとされたためです。
 これからは、市長が先頭に立って、市長の責任において、センターの充実と再生をしっかり実現する ことが必要です。

(3)充実と言っても、医師の人数が揃えばよいわけではなく、能力ある医師、優秀な医師が必要です。 医療技術と医療機器、医薬が急速に進歩した結果、医師の能力の重みが格段に増しました。
  センターの神経内科は十数人という規模も能力も全国的に高く評価され、センターの急性期医療の 中心です。昨年3月から10月までに13人の内5人減りましたが、その中に畑、松岡両先生が含まれていた のは大変な損失でした。
  昨年10月脳梗塞の強力な特効薬 t-PA が解禁されましたが、この治験にあたって全国最高水準の成果を得て貢献を されたのはこのお二人でした。また、前記厚生労働省研究班にセンターを代表して参画されたのもこのお二人です。
  現在でもセンターの神経内科は(例外者を除いて)水準が高く、中でも植田先生は全国でもわずか数十人、横浜市 では唯一人の血管内治療学会認定の指導医で、神奈川県全体の t-PA 使用指導の責任者です。神経内科については、 現在のスタフを大切にし、畑、松岡の両先生に少しでも早く帰任して頂くことが必要です。これにより、熱心で優秀な 医師が指導を求めて全国から来任することが期待されます。

(4)脳神経外科については、脳卒中専門病院としては規模が小さく、医療水準も低いと指摘されていました。実際、 以前はセンターとしては例外的に一つの医局からのメンバーが固定し、ルール違反の手術で事故を連発し、今は 殆どがセンターを去りました。今後は優れた医師を広く求めることが特に重要です。
  内科は概ね4、5人でしたが昨年4月からは唯一人。脳卒中と関係が深い循環器專門の医師は0。麻酔科 は現在0。自力では手術も出来ません。常識では考えられない事態であり、福島センター長と、岩崎病院 経営局長は直ちに責任能力のある人間と交代させることが必要です。(福島センター長は1月末で辞任した とのこと)

(5)平成15年、センターとしては例外的な、能力もモラルも欠ける脳神経外科医などがルール違反の手 術で2件の事故を起こし、今も新聞を賑わしています。センターの画期的な医療能力とこれまでの功績 を考えると、センターが事故ばかりで有名になるのは、全く痛恨の思いです。これは事故について衛生局 (今は病院経営局)とセンターの管理部門が様々の小細工を弄して隠し、責任を逃れ続け、それが今も 続いているためです。
  直接の被害者でない患者の立場から見ても、このような事態がうやむやにされるのは危険極まりない ことです。何故最初から事件の全貌を進んで明らかにし、取るぺき責任を取り、再発防止に必要な措置を取らなかった のか?
  当事者と当局はこの事を今からでも正直に実行して頂きたい。

(6)最後に疑問点。横浜市は税金の使い道に余程困って居るのかということ。三つしかない市立病院の内、全国でも 名高い脳卒中専門病院を潰そうとして失敗した73歳が横浜市病院経営局長で居続けていること。
 医療事故について市会で嘘を並べてやめさせられた元センター長と、在任中多数の医師を去らせて センターを破綻させ、一年でやめた消化器外科医の前センター長の2人が、何と脳血管医療センターの担当理事を 務めるとは。
 横浜市民はこのような者の為に税金を払わねばならないのでしょうか。