平成18年 1月17日
横浜市立脳血管医療センター看護部による個人情報漏洩問題に関するお願い
日本看護協会会長 久常節子殿
「脳卒中から助かる会」
代表上野 正  
同吉田 孝
                         

 私達「脳卒中から助かる会」は横浜市立脳血管医療センターの患者、家族などの市民団体です。
私達は日本看護協会が個人情報の保護を重視され、患者が安心して受けられる透明性ある医療の実現 に努力されていると聞き、上記の件について書面を以てお願いしたいと考え、 このたび初めてお便りする次第です。
問題の背景 横浜市立脳血管医療センターは全国でも有数、関東一といわれた脳卒中専門病院で、 優れた成績をあげてきました。
しかし、脳神経外科部門には問題があり、平成15年にルール違反の 手術で二つの大きな事故を起こし、管理部門が隠蔽していた事が平成16年に発覚しました。一方、 横浜市は同年秋に上記センターをリハビリ重点の施設にするという方針を発表。
患者、家族など有志が これに危機感を持って脳卒中から助かる会」を平成17年3月に結成、センターの救急・急性期医療の維持・ 充実を求めてきました。
  同年4月、横浜市は同センターで早くから事故を指摘してきた女性医師をセンターから出して保健部門に 異動。
これに対して、同センターの神経内科全員(新任1名を除く)を含む十数人の医師が、この異動は事故 を指摘した報復であるとして抗議を公表。女性医師は人事委員会に不服を申し立てました。
 「脳卒中から助かる会」はこの事態を受けて4月から同センターの救急・急性期医療の維持・充実と 医療に優れ、医の倫理に厳しい上記医師のセンター復帰を求める署名運動を開始、署名者は現在までに 1万5千名を越えました。
  一方、上記医師の不服申し立てによる人事委員会の公開審理が平成17年12月に開かれましたが、 行政側証人による証言の中で、同センターの看護部に於ける見過し難い個人情報漏洩問題が明らかに なったのです。

お願いの趣旨  私達市民としては、人の命を預かる病院の看護部において個人情報が漏洩されることは 重大な問題と考えて、市当局に対して調査と対処を要望しましたが、この漏洩は市による人事異動そのものとも 関連しています。 
  私達としては日本看護協会に、人事異動の当事者である市当局とは別に、独自の立場から事態の把握と 然るべき対応をお願いしたいと考えた次第です。

事実の説明 
1.昨年12月26日、上記センター元医師による人事の異議申し立てに関する横浜市人事委員会第一回 公開審理が行われ、同センター元職員の飯野光治医師(徳州会茅ヶ崎病院所属)が横浜市側の証人として 証言した。
  飯野医師は元同僚として、申し立て人を批判し、根拠のひとつとして、センター内の職員が平成14年に 申立人の上司に提出した書面を引用している。
  この書面は申立人の言動を非難したものであるが、そこには申立人以外の複数の医師と看護師の個人名、 患者の病状等も記載されている。
  飯野証人は平成17年にセンターの医事課から陳述書を書くよう頼まれ、センターの看護部で書面を入手し、 この内容を人事委員会への陳述書に転記したと証言したが、証人は平成16年3月にはセンターを既に退職している。
  飯野証人は、この書面が看護部から同証人に提供されたものか、同証人が看護部に立ち入って看護部の了解なし にこの書面を持ち出したものか明言していないが、この書面はセンターの個人情報に関連したセンターの内部文書 である。
  看護部の手から証人に提供されたのであれば、部外者に対する看護部直接の個人情報漏洩であり、もし証人が 看護部の了解なしに書面を持ち出したとすれば違法行為であって、看護部と管理部は文書管理の責任を問われね ばならない。
2.同センターの看護部では平成16年にも、カルテ開示請求中の患者の病状などの情報を含む重要文書と フロッピーディスク2枚を看護師長が内規に反して持ち出し、盗難により紛失したのち発見されたという事件が起きた。
  紛失に関してはその後処分済みであるが、公開された同センターの診療科会議の記録によると、上記のカルテ 開示請求者の質問状に対して看護部が主治医に無断で、診療記録と異なる内容の書面を渡したという。またこの フロッピーディスクには、最初に述べた医療事故の内の一件の情報も含まれており、この事件には不審な点が多い。

日本看護協会に対するお願いの内容
上記二件について調査し、事態を正確に把握すること
上記二件に対する日本看護協会としての見解を明らかにし、再発防止を含め適切な対応を図ること
以上の結果について、私達に早期に具体的なお答えを下さること