人事委員会第3回公開口頭審理の概略

  •  平成18年4月27日午後1時半より,6時過ぎまでの長時間にわたって,滝童内浩子元看護部長と中谷正美看護師長を証人として,請求者側と処分者側の双方から 尋問が行われた.  
      まず,請求者側から滝童内証人に尋問が行われ,そこでは証人が松岡医師の問題ある言動について書いた文書の内容が,すべて証人は確認したことではな く,伝聞によるものであることが明らかにされた.また,松岡医師を非難する趣旨の文書について,当該の看護師が病棟会で「こんな文書を勝手に出されて は困る」と発言した事実は証人も確認し,他の意見もあると付け加えた.
     次に,処分者側からの質問に対して,証人は以下のように証言した.松岡医師が看護師を大声で叱責したり,ときに,馬鹿と言ったりしたという報告を受 けている.山本センター長や畑副センター長にも,松岡医師にっいて30回以上も善処を求め,対応はしてくれたが,松岡医師の態度は改善されなかった.
     一度だけ山本センター長らを交えて,松岡医師と話しあうことができ「看護師は,自分たちが教育するから,3年待ってほしい」と言ったが,明確な答え はなかった.すぐに帰ってしまい,ほとんど話もできなかった.
     松岡医師の看護師に対する叱責は,声が大きく,長時間にわたり,指導と言えるようなものではなかった,そのため,看護師の精神状態に危機をもたらし た.そのような看護師は5人前後いた.看護師は,電話で連絡を取ったりして,松岡医師からの被害を避けようとしていた.松岡医師は,他の医師をあらゆる 場所で中傷していた.
     さらに,請求者側代理人からは,ある看護師から「松岡先生は数十回も講習会を開いてくれ,私たちのミスもカバーしてくれた」という内容の文書を市長 に提出していることが指摘され,それを知っているかと質問した.これに対しては「知らない」と答えた.
     その他,松岡医師が,長時間,大声で叱責するので,中谷看護師長は精神的に参ってしまい,病院に仕事に行くことさえやっとだったというようなことも, 泣きながら証言した.また,カルテを書いていない,オーダーが出されていない,検査データを見ず看護師にみさせる,診察をしないとか,松岡医師が医師 の務めを果たしていないかのような証言がされた.また,松岡医師が怒るのは,.どういう場合かという質問に対しては「患者の容態が変化したとき」と答えた.
     人事委員からも,たとえば「3年後の平成14年には看護師のレベルはどうだったか」「検査データを看護師が見るのは,医師法,看護師法上,問題はない か」「松岡医師が転出してから,センターのチーム医療は変化があったか」とかの質問がされた.これに対して噺人が多いことなどもあり,3年後について 予定どおりは行かなかった」「看護師がデータを見ることは,法律上,なんら問題ない」「医師不足が解消せず,チーム医療は確立していないが,看護師は働き やすくなった」との回答がなされた.
     最後に,委員長から処分者側に「処分過程(の正当性)を具体的に主張して欲しい」「通常の人事との違いを明確にして欲しい」,今月中くらいに書面で提 出して欲しいとの要請がなされた.


    人事委員会第4回公開口頭審理の概略
     平成18年6月16日に第4回の口頭審理が開かれた.山本元センター長と福島元センター長が証人であった.
     冒頭に,処分者側代理人から,「これまで,請求者側の質問は,本件で問題となる配置転換が不利益処分であるかという争点と関係ないことばかりで,時間 の無駄である」との主張がなされた. さらに,前回の証人と今回の証人に,脅迫じみた電話がかかっており,今回から審理を非公開にして欲しいとの要請もなされた. しかし,委員会で審議の結果,それは受け入れられなかった.
     山本証人に対する処分者側の質問の意図は,松岡先生が医師に対しても,中傷したり,不穏当な発言をしたりして,チーム医療を妨げたことを立証したいようであった. 看護師に対する指導に対しては,前回と同様な質問と証言がなされた. しかし,一方で山本証人は医師としての松岡先生を信頼していて,看護師や若い医師の指導することを期待していたこと,看護師を指導すること自身については,何も言ってなく,言い方やTPOに問題があったと主張した,  「本件は基本的には慈恵医大青戸と同じと思います」と書かれた防衛医大石原先生の手紙については,あっさり「石原先生の手紙ですね」と認めた. この手紙の今述べた部分の削除することを,石原先生にお願いしたのではないかという質問に対しては,否定した.
     請求者側から「医療ミスを早く認めて,患者さんに謝罪すべきと一番主張したのは,松岡先生ではないですか」という質問についても「そうです」と認めた.
     亀田夫人のMRIのフィルムについては,「このフィルムは見たことはない」と証言した.
     次に,福島元センター長に対しては,松岡先生の配転を決めたころの事情について,質問された. 福島センター長は,赴任してすぐに松岡先生の配転を衛生局幹部と相談したことが証言された, また,患者の意見は「自分は外科医だから,聴かなかった,残って欲しいという患者さんが大勢いたのも事実」と証言した. 「松岡医師の配転と,医療事故とはまったく関係ない」と証言したが,これは医療事故であったことは識うた発言で,....山本証人が..「ミスか.どうかこれからの問題」として慎重な発言をしたのと対照的であった.