メモ=横浜市の新体制

1)横浜市ではt-PA対応の医療機関を募り、応募した30病院の全部に脳卒中救急患者を送り込む体制を作って、4箇月の試行期間ののち21年度から正式に発足した。
各病院は救急患者受け入れの時聞帯を申告し、救急隊はこの時間帯に患者を地理的に近い病院に送り込んでいる。
(このためこれらの病院をカレンダー病院という。)

2)t-PAは非常によく効く特効薬で.発病後3時間以内でないと使えないため、早く運ぶにはこの体制は有効である。
しかし、t-PAは危険な副作用があるので、適正な判断が出来る優秀な医師と高度の検査機器などの医療体制が整っていないと患者は死亡したり重大な障害を負う。
このため、日本脳卒中学会はt-PAを使用する病院について厳重な施設基準を設けている。

3)横浜市はこうした基準を全く無視して、手を挙げた病院全部をカレンダー病院に指定したため、30病院の中には「あの病院は危ない」と評判の病院も、医療体制が不十分な病院も入っている。
横浜市は、申告した以上は「各病院の自己責任」という一方、各病院個々の治療実績を全く公表していないので、運び込まれた患者がどうなったかは不明のままである。
救急隊は距離を主体として運び込むので、医師や設備の充実を促す効果は全くなく、自然淘汰〔良い病院に患者が集まり、危ない病院の患者は減る)による脳卒中医療水準の向.とも期待できない。 露骨にいえば、危ない病院の生き残りに有効である。