平成17年 6月 5日

厚生労働省医政局総務課
医療安全推進室御中
                 
「脳卒中から助かる会」
代表 上野正
同 吉田孝

私共の「脳卒中から助かる会」は昨年より横浜市立脳血管医療センターの救急機能が廃止される恐れが生じたため、 これを防ぐことを目的として本年3月結成された同センターの患者、家族、および趣旨に賛同する入々からなる団体で、 現在の会員数は160名を越えました。
  この度、私共の会より国家機関としての厚生労働省にお願いしたいことが2点ありますので、資料を副えて以下に 述べます。

 要望〔1〕 横浜市立脳血管医療センターの将来の機能については外部の専門家からなる検討会 議の結論を待って決めるとされ、現在検討が続けられていますが、この検討期間中の4月と6月にセンター専任の医師が 大幅に減っています。
  内科は、もと3人が1人に、脳神経外科はもと4人のところが1人となって外科手術が困難になり、夜間の当直医が 3人から2人に減って、このまま医師の過労が続くなら、不測の事故さえも懸念されます。
  横浜市立脳血管医療センターは、現在1年365日、24時間MRIが稼働し、専門医が待機する横浜市内で唯一つ の脳卒中専門施設であるため、この事態によってセンターの患者は勿論、横浜の市民全体にとって生命と健康が危険に さらされることになりました。
  これは、地方自治体で起きていることではありますが、日本国内の事態であり、日本国民の生命と健康にかかわる 重大事であります。
  国としても直ちに実態を把握され、早急に改善に向けた措置を取ることをお願い致します。

 要望〔2〕横浜市立脳血管医療センターは昨年厚生労働省に設けられた脳卒中に関する研究班の 5つの指導的中核施設のひとつであり、国内有数の脳卒中専門病院として知られています。
 ただし、外科部門には若干の問題があり、一昨年夏に外科手術により2件の事故が起こって、一件では患者が重篤な 傷害を負い、一件では患者が死亡しました。
  傷害の事件に関しては、センターの外科部門と管理部門、および市の衛生局が隠蔽を続けていましたが、その後セン ター内部からの指摘と外部の調査委員会により昨年秋に医療過誤と判明しました。
  ところが、本年4月、事故隠蔽失敗の報復と見られる理由未公表の人事異動により、神経内科医1名がセンターから 出され、同療の神経内科医全員(2月新任の1名を除く)が当局に対する抗議を公表し、異動対象の本人も5月に人事委 員会に異議申し立ての手続きを取りました。
  因みに一昨年のもう一つの事故の調査は2年後の現在も完了しておらず、今回の人事異動からは隠蔽の再発も懸念さ れます。
  以上は自治体内部の事件ではありますが、医療の安全性に関する問題として国として無視できない事件であると考 えます。
  国としても事態を正確に把握され、適切に対応して下さることを希望します。
 
 【資料】
(1)横浜市長に対する「脳卒中から助かる会」からの「横浜市立脳血管医療センターに関する緊急の要望(5月18日付)」と市 からの回答。

(2)横浜市長に対する「脳卒中から助かる会」からの5月24日付書簡(6月5日現在未回答)と関連する署名用紙。
  この書簡は二つの内容からなり、一件は横浜市立脳血管医療センターの救急治療の維持・充実を求め、4月の理由未 公表の人事異動の撤回を求めたもの。この要望に関しては5月24日までに5,500人以上、現在までに6,500人 以上が署名している。
  もう一件は一昨年の傷害事故の被害者家族から中田市長に宛てた公開書簡。これは事故とその後の病院の対応の詳細 が含まれている。

(3)関連する新聞記事①~⑥
①②は「脳卒中から助かる会」成立に関するもの、
③④は4月の人事異動問題と医療過誤に関する訴訟など、
⑤⑥はセンターの医師減員による危険性に関するもの。